脱ペーパードライバーの歩み 〜 路上に出るまで

 
免許を取って以来運転暦の空白10年以上。実質路上経験ほとんど皆無。
こういう人がどのようにペーパードライバーを脱していくか。
 
■6月はじめころ
北海道の実家へ帰省ついでにレンタカー借りてドライブでもしようと思いつく。
 
■6/7
家から通えてペーパードライバー教習が受けれる教習所を見つけてWebから入所申し込みをする。
 
■入所 6/10
会社帰りに送迎バスが出ている駅で降りて教習所に行き、入所手続きをする。大抵は4時間でみんな終えるらしいけど、そんな短時間でできる気がしないので8時限コースを選んで5万円弱支払った。(昔見たとき15万位してた気がする。ずいぶん安くなった?)
 
■1時間目 6/23
ついに初めての教習。1時間予約。十数年ぶりの運転席乗車。
持っている免許がマニュアル車の免許なので、マニュアル車を選択。ホントにいいの?間違いない?ってくらいの勢いで「(えっ?)マニュアルですか?(へーマニュアルねー)」って確認された。
ささっと操作説明を受けて「じゃあ、軽く所内周ってみますか」って言われて、いきなり運転!いきなり過ぎてビビった。事前に運転教本で軽く手順さらっといて良かった。さらってなかったら絶対無理だった。
教本さらう前は半クラッチで動き出すのは何となく覚えてたけど、ペダルの並び順とギア切り替える時にクラッチ踏む事すら覚えてなかったし、ハンドブレーキってどのタイミングでどうするのかも覚えてなかったレベル。
 
不安は大きかったけど、指示と指摘に従うように素直に一生懸命やってればどうにかなるもんだ。エンスト起こしまくりながらもどうにかこうにかサーキットをグルグル。体はガッチガチ!ハンドル回す手がもつれる。「ハンドル持ち直して」って何回も言われた。「ファーストギアは発信の時くらいしか使わないから、普通に走っている時はセカンドにして」と言われた。頑張って直線でサードギアまではチェンジした。
 
多分40分以内に15回はエンストしたんじゃないかと思う。「試験じゃないんだから緊張しなくていいんだよ」「免許持ってるんだからさ」と励まされたけど、こんなんじゃ仮免手前の人の方がまだ上手なんじゃないか?ゴールド免許だけど仮に剥奪されても文句言えないだろって我ながら思った。
 
入所した時に受付の人が「だいたいの人は4時間で終了する」って言ってたけど、本当に8時間で路地に出て高速教習(2時間セット)まで終えられるのか心配になって、指導員の方に聞いてみたら「まぁ行けるんじゃないですかねぇ」と。このやばい運転を見てその発言マジですか!?真実味が感じられない。「でも高速より一般の路上をたくさん走った方がいいですよ。」「とりあえず次までに操作のイメトレはしっかりしといてね」って言われた。
ドライブしたら高速は必ず乗るだろうから、行っとかないと不安なんだけどなあ。
うーん大丈夫だろうか…でもひどい運転なりに車を動かせた事がじわりと嬉しかった。
 
■2時間目 6/29
一週間ぶりの乗車。この日は2時間予約。
この日の1時間目。前とは違う教官。また「マニュアルですかー」と言われる。「何でマニュアルなの?マニュアル車に乗んなきゃいけなくなっちゃったの?」って聞かれて「いや深い意味はないです。免許がマニュアルですし。オートマより難しいと思うのでマニュアルできるようになっとけば大丈夫かなと思って」と答える。「そうですか、いや、全然いいですよ、マニュアル車で」と言われる。何かMT車教習を受けることがまずいことをしているような、恥ずかしいことをしているような妙な気分になる。
 
前よりは色々スムーズにできている感じ。イメトレをしておいた成果か?この一週間運転してないのに前より出来るようになっているという現象は不思議だ。傷が自然治癒するのに似ている感じがする。
クラッチ側の足の置き場を指摘された。「操作しない時は左奥に普通に足置いといていいよ」ってこと。常に足のっけてないと、何か不安なんだけど、どうにか足を離す。
あと、シートに頭つけないようにすることと(頭ぴったりつけ過ぎてた)、ハンドル真ん中よりやや上側を軽くにぎる(まだ緊張して力入れ過ぎちゃう)などを指摘されつつ、右折左折、クランク、S字、坂道に進む。
 
1時間目よりはエンストしなかったが坂道はどうしてもエンストしてしまう。クラッチペダルの上げ方が早すぎるらしい。次の課題だ。
 
■3時間目 6/29 
休憩はさんで2時間目。また別の教官。そこで前の時間の教官がすれ違って「あれ?マニュアルじゃないの?彼マニュアルだよ!」その教官「え?あ、マニュアルなの?」私「あ、そうですけど」どうやら当然のようにオートマ車の所に連れて行かれていたらしい。
また「何でMTなの?」って聞かれて同じ回答を繰り返す。何なんだー!?
 
坂道の特訓を願い出る。登ってそのまま重力まかせでバックしてまた登るを繰り返す。アクセルでエンジンの回転を一定に保つのがどうにも難しい。「難しかったらアクセル横の車体ごとガッて踏んじゃえば安定させやすいよ」って5回くらい言われたけど、どうにもそれで固定できるって感覚がわからない。よけいやりづらい気がしてしまった。
エンジンの回転を通常の発進より強めに一定させて、ゆっくりクラッチを上げていくと回転数がグーッと下がってくる、そしたらクラッチもアクセルもそのままでハンドブレーキを下ろす。10回近くやったかな。やっとこの手順が理解できて、ようやくエンストせずにいける気配になってきた。「焦んないでいいんですよ。できるまで自分のペースで何回でもやりましょう」って言ってくれて救われたけど、今は既に全8時間のうち3時間目。残り5時間。ああ、本当に数時間後に路上に出れるのだろうか…
そして残り時間でまたS字とクランク。坂道発信の感覚が染み付き過ぎて、平地でのアクセルとクラッチの踏み加減がよくわからなくなって車体がガクンガクンなってしまった。何だか悶々したままタイムオーバー。
 
何か家に帰ってからも復習運転したくてウズウズする。
毎回マニュアル車を選んでいるのを面白がられるのは、教官に聞いた話ではペーパードライバー教習でMT車を選択する人は滅多にいないらしい。そもそも今は売ってる車もレンタカーもAT車がほとんどだし、必要に駆られてやむ終えず受講する人が多い。MT車を操作できるようになっても乗り続けないとすぐにペダル操作の感覚を忘れてしまうから、AT車に乗るならわざわざ大変な思いしてMT車の練習をやる意味がないと思うんだよねーのこと。なるほど。
最初は大は小を兼ねる程度のつもりで選んだんだけど、多分運転してて楽しいのはMT車。自分で操作している感覚がある。車と一体感がある。
教習終わったらカーシェアリングで定期的に乗ろうと思ってたけど、MT車カーシェアリングって無いみたいだし多分AT車しか運転できなくなっちゃうだろうなあ。
 
MT車買ってしまおうかと考え始める。
 
■4時間目・5時間目 6/29
昨日に続けての乗車。この日も2時間予約。続けて100分の乗車にできるってことでそうしてもらった。
また、初めての教官。縦列駐車、バックでの駐車を全然やってないのでそれをやりたいのと、もしも行けそうなら路上(多分無理だと思うけど)も…と伝えた。
坂道発信の復習。最初エンストしたけど、次はどうにかいけた。もう平地ではエンストすることはなくなった。
S字クランクの半クラも結構いい感じ。前の悶々が良かったのかもしれない。だけど、進路変更の合図のタイミングを質問されて答えられず(変更の三秒前)…「運転技術以前の問題だよね。」と言われる。全くその通り。情けなし。学科の勉強もしっかりやらないとな…
「今どこ見てる?」「えーっと…」「今どこ見なきゃいけないんだっけ?」「うっ」目線が見なきゃいけないところを全然見てないと何度も指摘を受ける。だんだんどこを見ればいいかわかってくる。それまでサイドミラー全然見れてなかったと分かる。あと、車の左右はサイドミラーの死角だから角を曲がる時や駐車時は必ず目視!と指摘を受ける。見てるつもりで、実は見れてないということが何となく分かり始める…
縦列駐車とバックでの駐車もちょっとだけやった後に「じゃあ路上行こうか」ってさらっと、言われて「あ、はい(良いのだろうか)」と、5時間目にしてついに路上に!1時間目ではいつその時が来る事かと思ってたけど、思いのほかさらっとその時が来た!
 
教習所を出るといきなり急な坂道で不安になるも、どうにか乗り切る。前半に目視ポイントをかなり指摘されまくっていたお陰か手に汗握りながらも、今までで一番スムーズにできたんじゃないかって感じで戻って来れた。2日連続で2時間入れたのが功を奏したのかも。
「もっと操作に気をとられてバラバラになるかと想定してたけど、確認もギアチェンジもけっこう自然にやってたし、いい方向に予想をうらぎってくれましたね。思い切って路上出てみて良かった。」と言ってもらえました!いえ、こんな恐怖の運転におつきあいいただきありがとうございましたです。